NTT 法のあり方に関する見解について(2)
- 電気通信事業法の改正などでは対応が難しいNTT法の規律-
KDDI株式会社、ソフトバンク株式会社および楽天モバイル株式会社の3社(以下 3社)は、日本電信電話株式会社(以下 NTT)が2023年11月7日に発表した「NTT法のあり方についての当社の考え②」(以下 NTTの考え②)(注)に対する見解を表明します。
「NTTの考え②」には、国益・国民生活への影響の観点から3社が特に重要な項目と考える点(公正競争・ユニバーサルサービス義務・外資規制)に関するものも含め、現行NTT法で規定されている規律が電気通信事業法の改正で代替可能であり、NTT法を廃止しても何ら問題がないとするような見解が示されていますが、3社の認識はこれとは異なります。
<「NTTの考え②」におけるNTTの主張と3社の認識>
NTTの主張 |
3社の認識 |
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公正競争 |
・NTT東西とNTTドコモの合併禁止は、電気通信事業法の禁止行為規制で対応可能である |
・NTT法の業務範囲規制は、NTT東西とNTTドコモの合併禁止のみならず広範な規制効果を有しており、電気通信事業法での対処は現実的ではない |
ユニバーサル |
・光IP電話はユニバーサルサービスの対象外である |
・光IP電話が対象外なのは、あくまで電気通信事業法のユニバーサルサービス制度においての位置付けであり、NTT法のユニバーサルサービス義務の対象は全世帯(6,000万回線相当)で、光IP電話を利用中のユーザーも保護対象 |
・特定の条件が整えば、NTT東西としてラストリゾートを担う |
・NTTが求める特定の条件は現状整っておらず、NTT法を廃止した場合には全国あまねくサービスの提供・維持が保障できない |
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外資規制 |
・外資規制は主要通信事業者を対象化することが必要であり、実現方法は外為法だけでなく、その他の法令等を含めて検討すべき |
・NTTの特別な資産は、他の通信事業者の設備と同列に扱えるものではなく、NTT法による外資規制が有効であり、また外為法強化による代替は困難 |
海外との比較 |
・主要国においては、特殊法人法を廃止している |
・特殊法人法の有無は、各国固有の競争政策と競争構造の違いによるものであり、日本は特殊法人法を廃止するための前提条件が整っていない |
公社承継資産 |
・民営化時に公社承継資産は株主である政府に帰属したもので、現在は株の持ち分に見合い、民間も含む各株主に帰属する |
・公社承継資産はNTT東西が所有し、NTT東西の株主はNTT持株(100%)である上、会社保有の資産が株主に帰属すると言えるのは会社解散時である |
3社を含む電気通信事業者や地方自治体など180者は、2023年10月19日付で提出した連名要望書(以下 連名要望書)のとおり、NTT法の廃止に反対の立場であり、より慎重な政策議論を行うことなどを要望しています。NTT法を廃止しても何ら問題がないとする方向でNTT法のあり方の議論が進められ、結果として、国益・国民生活を損ねることがあってはならないと考えています。
なお、180者は連名要望書において、日本が目指すべき国民生活向上や経済活性化、国際競争力強化などにつながる情報通信インフラの将来像の実現に向けて、NTT法も含め通信政策の見直しを検討していくことには賛成の立場であることを連名要望書にて表明しています。
NTT法の「廃止」ではなく「改正」が前提であれば、将来の通信業界ひいては日本のあるべき姿に向け、業界全体で前向きな検討が行えるものと考えており、NTT法のあり方についてはこのような方向で政策議論は進められるべきです。
詳細は別紙をご参照ください。
(別紙)日本電信電話株式会社が公表した「NTT法のあり方についての当社の考え②」への見解
(参考)
2023年10月19日 楽天モバイル株式会社 プレスリリース
NTT法の見直しに関する要望書を提出
https://corp.mobile.rakuten.co.jp/news/press/2023/1019_01/
(注)2023年11月7日 NTTプレスリリース「NTT法のあり方についての当社の考え②」
https://group.ntt/jp/newsrelease/2023/11/07/231107b.html
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