Open RAN

Open RANは、無線の送受信装置などの仕様をオープンにして、様々なベンダーの機器やシステムとの相互接続を可能とする標準化された無線アクセスネットワーク(RAN)です。楽天モバイルでは、自社の仮想化Open RANネットワーク構築の知見を活かして国内外でOpen RANを展開しています。

Open RANの構築

従来のネットワーク構成では、ネットワーク装置ごとに特定ベンダーの専用ハードウェアとそれに一体化したソフトウェアが導入されており、モバイルネットワークの設備投資の大半を占めるRANにおいて膨大な費用が発生します。

一方、楽天モバイルは、Open RANのアプローチによりRANのマルチベンダー構成を実現することで、特定のベンダーに縛られず、柔軟な設備調達や価格競争などによる投資コストの削減が可能です。また、オープンな規格に準拠していることは、安全性や透明性の高いRANを構築することにもつながっています。

従来のインテグレーション、Open RANのインテグレーション。従来、スマートフォン、同一ベンダー(RRH、BBU)、Core NW、インターネット。Open RAN、スマートフォン、多様なベンダー(4G/5G RU、vDU、vCU)、Core NW、インターネット。

2020年8月よりOpen RANの仕様策定を推進する国際的な標準化団体「O-RAN ALLIANCE」に加盟しており、団体の定める仕様(O-RAN)に基づいたOpen RANを構築して商用サービスを提供しています。また、RANのソフトウェア化によって運用を自動化し、設備投資および運用コストの大幅な削減を実現しています。

楽天モバイルが提供する仮想化Open RAN技術検証環境「楽天モバイルオープンイノベーションラボ」

Open RANではマルチベンダーに対応した装置構成となっており、従来以上に相互接続性を確認すべき装置間インターフェースが増加するため、エンドツーエンドだけでなく単体および個別装置間の検証が必要となります。

楽天モバイルは、仮想化されたOpen RANの商用モバイルネットワーク構築で得られた知見や技術を活用した技術検証環境「楽天モバイルオープンイノベーションラボ」を開設し、国内外の通信事業者やベンダーなどの企業や学術機関(パートナー)へ仮想化Open RANの技術検証環境を提供しています。

楽天モバイルオープンイノベーションラボ

楽天クラウドイノベーションラボ内検証設備

東京大学のOpen RAN設備

東京工業大学のOpen RAN設備

国内においては、「楽天モバイルオープンイノベーションラボ」の機能を楽天クラウドイノベーションラボに設置することに加え、国立大学法人東京工業大学(注1)や国立大学法人東京大学 大学院工学系研究科 中尾研究室の構内に、「楽天モバイルオープンイノベーションラボ」と遠隔で接続した仮想化Open RANの技術検証環境を提供しています。(注2)

パートナーは、遠隔から楽天クラウドイノベーションラボ内の「楽天モバイルオープンイノベーションラボ」に接続することで仮想化Open RANの技術検証をすることができ、検証地点への移動が不要となるほか、自前で検証環境を構築することなく、迅速かつ簡単に開発を進めることができるようになります。また、パートナーが所有する施設において楽天モバイルが技術検証環境を構築することも可能です。

端末、RU、フロントホールファイバー、エッジサーバー(IP Transport、vDU、Symworld TM Cloud)、モバイルミッドホール、FIBER、データセンター(IP Transport、vCU、Symworld TM Cloud)、モバイルミッドホール(専用線)、データセンター(IP Transport、5GC、Symworld TM Cloud)。東京工業大学エッジクラウドコンピューティング環境、楽天クラウドイノベーションラボ、現場・遠隔から接続・検証。

(例)東京工業大学のOpen RAN技術検証環境

楽天モバイルは、すでにOpen RANベースの商用ネットワークにおいて、仮想化された分散ユニット(vDU)と集約ユニット(vCU)を完全に分離した、柔軟な仮想化モバイルネットワークを構築しています。「楽天モバイルオープンイノベーションラボ」の検証環境でも、vDUとvCUを完全に分離し、仮想化ネットワークを構築することで、様々な拠点における検証を可能にし、パートナーが求めるネットワークの用途に応じた柔軟な仮想化Open RANベースのアーキテクチャ構築を実現します。

また、Beyond 5Gを見据えて、RANを管理・制御するインテリジェント機能「RAN Intelligent Controller(RIC)」プラットフォームとAIアプリケーションの開発も行っています。RICプラットフォームでAIアプリケーションを活用することで、ネットワークへの負荷や障害の可能性をあらかじめ検知してネットワークを自動的に最適化するほか、仮想化Open RANのパフォーマンスを向上し、安定した通信環境の開発にも取り組んでいきます。

「楽天モバイルオープンイノベーションラボ」においても、RICによりネットワーク設計や運用の最適化の実証を支援することを目指しています。今後、楽天モバイルは「楽天モバイルオープンイノベーションラボ」の提供を拡大することで、国内外における仮想化Open RANの研究開発を加速させるほか、クラウドネイティブなネットワーク機能を汎用ハードウェア(COTS)上で実行する分散型アーキテクチャとコンテナ化により、パートナーの仮想化Open RAN導入における総所有コスト(TOC)削減や自動化、イノベーションの推進に貢献します。

楽天モバイルオープンイノベーションラボプログラムを見る

Open RANをグローバルに推進

楽天モバイルは、国内のネットワーク構築で培ったOpen RANに関する専門技術や知見を活用し、「O-RAN ALLIANCE」などにおいて、RICや人工知能(AI)・機械学習(ML)を活用した自動化、O-RANのセキュリティ向上、省電力化に向けた標準化活動を推進しています。

また、楽天シンフォニーでは、クラウドネイティブかつOpen RANベースで構築された通信事業者向けプラットフォーム「Symworld™」を通信事業者へ提供することでモバイルネットワークの構築やOpen RANの導入を支援し、Open RANソリューションのグローバル展開を目指しています。

(注1)楽天モバイルと東京工業大学は、超スマート社会推進コンソーシアムの取り組みの一環として、仮想化Open RANを活用したスーパースマートタウンの実証実験を行っています。詳細は以下のプレスリリースをご覧ください。

楽天モバイルと東京工業大学、5Gネットワークに関して協業する合意書を締結

(注2)楽天モバイルは、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT(エヌアイシ-ティー))の「Beyond 5G研究開発促進事業」における委託研究において、東京工業大学および東京大学と共同で研究開発を実施しています。詳細は以下のプレスリリースをご覧ください。

楽天モバイル、東京工業大学と連携し、Beyond 5Gエッジクラウドコンピューティングに関する研究開発を開始

楽天モバイルと東京大学、低軌道衛星を利用したIoT超カバレージに関する共同研究開発を開始

【解説動画】Open RANを実現する楽天モバイルの取り組み

楽天モバイルのネットワーク技術