共同CEO兼CTO
インタビュー
シャラッド・
スリオアストーア

シャラッド・スリオアストーアは2018年に楽天モバイル株式会社(以下「楽天モバイル」)に入社しました。クラウドネイティブなOpen RANインフラストラクチャのグローバルな導入において重要な役割を果たし、モバイルネットワークに革新をもたらす通信業界のリーダーです。

約30年にわたり通信業界において、大手携帯電話事業者、ネットワークプロバイダー、コンサルティング会社等と協働しながら活躍し、注目を集めてきました。特にインド最大の通信事業者であるリライアンス・ジオ・インフォコム(以下「ジオ」)のネットワーク展開を手掛けた一人でした。

スリオアストーアは2023年8月に、楽天グループ株式会社 代表取締役会長兼社長 三木谷 浩史より任命を受け、日本を代表する携帯キャリア事業者になるためのけん引役として楽天モバイルの共同CEOに就任しました。

スリオアストーアは2022年に設立した楽天シンフォニー株式会社(以下「楽天シンフォニー」)の代表取締役社長にも就任しています。楽天シンフォニーは、通信事業者や、企業、政府機関によるクラウドネイティブなOpen RANインフラストラクチャの導入とOpen RANサービス展開をグローバルに推進しています。

スリオアストーアは、ネットワーク運用と顧客エンゲージメントの両面におけるAI導入により、通信と接続性の未来に大きな変化が訪れると予想しています。以下、楽天モバイル・楽天シンフォニーでのこれまでの歩みと今後のビジョンに関するスリオアストーアへのインタビューをお届けします。

楽天モバイルに入社したきっかけは何でしたか?

ジオでのネットワーク構築は、これまでの私のキャリアにおいて象徴的な出来事でした。2018年、楽天モバイルは通信業界を変革するという野心的な目標を掲げ、日本国内で革新的なモバイルネットワークを構築しました。入社前に三木谷からの電話で、日本国内での新しいモバイルネットワーク構築に関する計画を聞き、このワクワクするプロジェクトに携わることは、私のキャリアのネクストステップとして自然な流れでした。

共同CEOに就任後、現在は何に注力していますか?

楽天モバイルが構築したモバイルネットワークにより、お客様に通信をお楽しみいただけていることに、大きな喜びを感じています。2025年2月には850万回線を突破(注1)し、サービス提供本格開始から約5年でこの成果を達成しました。これはチームの努力の証でもあります。ここで歩みを止めるつもりはありません。現在、注力していることは、ネットワークの運用を最適化し、次のフェーズに成長させることです。日本のお客様に最高のユーザー体験をご提供するための新しい取り組みを開発しています。

楽天モバイルは日本の通信市場にどのような変革をもたらしましたか?

通信を利用するということは基本的人権です。これまでの日本の通信料は他国と比較して高額でした。データ消費に応じて、ユーザーは基本料金と制限のあるデータ容量の利用に毎月高額な料金を支払っていました。楽天モバイルの「Rakuten最強プラン」は「最強家族プログラム」の適用でデータを無制限に使用しても月額2,880円(税込3,168円)で、日本の家計に掛かる通信料負担は大幅に下がりました。

楽天モバイルはどのようにしてネットワークの品質を向上していますか?

楽天モバイルは、グローバル分析会社Opensignal社が2024年2月に発表した「グローバル・モバイル・ネットワーク・エクスペリエンス・アワード 2024」において「アップロード・スピード・エクスペリエンス」 のグローバル・リーダーに選出されました(注2)。これはお客様のユーザー体験を向上させるべく、日々ネットワーク品質に改善を重ねた結果です。楽天シンフォニーが開発した新機能を継続的に自社のOpen RANネットワークへ実装することで、お客様により利便性の高いサービスを提供できるよう努めております。

現在、都市部でのカバレッジを改善するために、プラチナバンドともいわれる700MHz帯のネットワーク展開を拡大しております。また、近い将来には、AST SpaceMobileとのプロジェクトにより、国内において衛星からの直接通信を通じてブロードバンドサービスを提供する予定です。

楽天モバイルはAIをどのように活用してネットワーク運用を最適化していますか?

通信業界においてもデジタルトランスフォーメーション(DX)やAIの活用が進んでいます。通信業界でAIを上手く活用するためには、ネットワークデータ、ジオロケーションデータなど、すべてのデータを統一し、単一のポイントに集中させる必要があります。

楽天モバイルは、当初よりAIと自動化によってネットワーク運用をしており、運用コストを大幅に削減しています。現在、生成AIをネットワーク運用に統合し、ネットワークエンジニアや管理者がいつでもネットワーク全体を可視化できるようにしています。

また、既存の楽天モバイルショップをより効率的に管理し、新店舗の最適な場所を予測するための革新的なツールも作成しました。楽天モバイルにおけるAI活用の可能性はとても大きいです。

楽天モバイルが提供する革新的な通信サービスにはどのようなものがありますか?

AIは顧客エンゲージメントを促進するカギになります。楽天グループの70以上のサービスから構成される「楽天経済圏」により、顧客体験を向上させる革新的なサービス提供が可能となります。

楽天モバイルでは、「Rakuten最強プラン」のご契約者様専用のリッチコミュニケーションアプリ「Rakuten Link」を提供しています。ユーザーは「Rakuten Link」から銀行、キャッシュレス決済、旅行、ショッピングなど、様々な楽天グループサービスに簡単にアクセスでき、「Rakuten Link」を通じて日常生活をより便利に送ることができます。

また、2024年10月にはお客様の悩み相談やアイデアサポートができるチャット形式のAIサービス「Rakuten Link AI」を発表しました。「Rakuten Link」にAIを導入することでお客様の日常を常に自動化し、より利便性の高いものに進化させることができます。

共同CEOとして掲げる楽天モバイルの未来に向けたビジョンは何ですか?

楽天モバイルは、「日本でNo.1の通信事業者になる」という目標を掲げています。今後、Open RANと仮想化の特長を生かして、ネットワークの完全自動化、つまりゼロタッチ・ゼロトラスト・ゼロ介入のネットワーク運用を目指して取り組んでいきます。

通信業界では現在、Open RANの導入が加速しています。楽天モバイルは世界的にも早くからモバイルネットワークにOpen RANを採用し、業界をけん引してきています。ベンダーに依存しない環境で、世界初(注3)の完全仮想化Open RANモバイルネットワークを構築することは、私たちにとって大きな挑戦でしたが成し遂げることができました。そして現在、楽天モバイルと楽天シンフォニーは、世界規模で通信事業者やベンダーに、ネットワークを計画・構築・展開・運用するために必要なすべてのツールを提供できるようになっています。楽天モバイルの未来に向けた挑戦に参画し、リードしていけることにとてもワクワクしています。

(注1)850万回線は、2月27日(木)時点の、BCP(Business Continuity Plan用途に販売しているプラン)回線を含む、「Rakuten最強プラン」、「Rakuten最強プラン ビジネス」、「Rakuten Turbo」、MVNOおよびMVNEを合わせた契約数です。BCP回線を除くMNO、MVNOおよびMVNEを合わせた契約回線数は828 万回線。MNO契約回線数(BCP、MVNOおよびMVNE除く)は762万回線。

(注2)Opensignalが2024年2月に発表した「グローバル・モバイル・ネットワーク・エクスペリエンス・アワード2024」の詳細は以下のOpensignal Web サイトにてご覧いただけます(英語のみ)。https://www.opensignal.com/reports/2024/02/global-mobile-network-experience-awards

(注3)大規模商用モバイルネットワークとして(2019年10月1日時点)/ステラアソシエ調べ

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企業情報

楽天モバイル株式会社は、携帯キャリアとして通信業界に風穴をあけるべく、革新的なサービスをお届けします。