楽天モバイルと楽天シンフォニー、RICを活用してOpen RANネットワークで最大25%の消費電力削減が可能なことを実証

 楽天モバイル株式会社(以下「楽天モバイル」)と楽天シンフォニー株式会社(以下「楽天シンフォニー」)は、AIによりRANを管理・制御する「RAN Intelligent Controller」(RIC)を活用して、4Gおよび5GのOpen RANネットワークにおいて最大25%の消費電力削減が可能であることを実証しました(以下「本実証」)。

 本実証の成果は楽天モバイルが国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT、読み方:エヌアイシーティー)による「Beyond 5G における高度 RAN 基盤を実現するOpen RAN無線通信技術の研究開発」の委託研究開発(以下「本研究開発」(注1))の取り組みの一つとして、「MWC Barcelona 2024」において発表しています。

 通信業界において先進的な本実証では、楽天シンフォニーが開発するRICがインテリジェント・インターフェース(注2)を介して、RICプラットフォーム上のアプリケーションである「rApps」と「xApps」間を接続することでネットワークにおけるトラヒックのパターンを解析し、消費電力削減に関するポリシーを設定できるようになったことを確認しました。これにより特定の基地局の利用状況に応じた柔軟な制御が可能となり、ネットワーク運用が効率化されるため、より大幅な省エネルギーの実現が期待されます。

 RICは、非リアルタイムRIC(Non-RT RIC)および準リアルタイムRIC(Near-RT RIC)の制御周期の異なる各プラットフォームによって構成され、RANおよび基地局を制御し、関連するパラメータを迅速に変更します。Non-RT RICは、RAN制御にかかる処理時間を1秒以上とし、Non-RT RIC上でrAppsを動作させることで、RAN制御に関する各種情報の分析やポリシーを生成します。Near-RT RICは処理時間を10ミリ秒から1秒とし、Near-RT RIC上でxAppsを動作させることで、機械学習を通じたネットワークにおける過去のトラヒックパターンの解析などの処理を行います。これにより、ユーザー体感に影響を与えることなくアンテナ構成を調整してOpen RANのパフォーマンスを向上し、消費電力削減が可能となります。本実証では、xAppsがリアルタイムにトラヒックを監視できることを確認しました。

 楽天シンフォニーが開発するRICプラットフォームは、Non-RT RICとNear-RT RIC機能を個別にサポートしています。5Gだけでなく4GのOpen RANにおいてもO-RAN仕様(注3)に準拠することで、O-RAN仕様に準拠した集約ユニット(CU)・分散ユニット(DU)に接続することが可能です。rAppsとxAppsの機能の柔軟な展開をサポートし、マイクロサービス(注4)やコンテナベース(注5)のアーキテクチャを採用した拡張性の高いプラットフォームです。

 楽天モバイル代表取締役 共同CEO兼CTOであり、楽天シンフォニー代表取締役社長のシャラッド・スリオアストーアは次のように述べています。「電気通信の革新に尽力し、自動化とOpen RANの研究を推進するNICTに心より感謝申し上げます。楽天モバイルと楽天シンフォニーは設立当初より、クラウドネイティブかつソフトウェアベースの自動化されたインテリジェントなOpen RANネットワークの構築に取り組んできました。本研究開発は、持続可能かつ自動化されたネットワーク運用をAIによってより高度化する両社の取り組みを強化するものです」

(注1) 本研究開発における成果の一部は、NICTの委託研究(JPJ012368C06501)により得られたものです。関連プレスリリース: 楽天モバイル、Beyond 5Gに向けてOpen RAN高度化に必要なRICに関する研究開発を開始
https://corp.mobile.rakuten.co.jp/news/press/2023/0228_01/ 
(注2)楽天シンフォニーが開発するインテリジェント・インターフェースはO-RAN ALLIANCEが定義するA1インターフェースの規格に準拠しています。
(注3)O-RAN仕様とは、Open RAN仕様策定推進団体のO-RAN ALLIANCEが国際的な規格として定義するOpen RANのアーキテクチャおよび装置間のインターフェースです。
(注4)マイクロサービスとは、小さな独立した複数のサービスでソフトウェアを構成・開発するネットワーク機能の開発アプローチです。
(注5)OS(Operating System)上に他のプロセスからは隔離されたアプリケーション実行環境を構築する技術です。コンテナ技術により、仮想的な動作環境をより少ないコンピュータリソースで実現できます。

■楽天シンフォニーについて
楽天シンフォニーは、革新的なモバイルネットワーク技術を用いた通信プラットフォーム事業をグローバルに展開しています。楽天モバイル株式会社が世界でも先進的に商用利用を実現した大規模な仮想化 Open RAN ネットワーク構築の知見を生かし、通信事業者向けのプラットフォームを含む次世代ネットワークの計画・構築・運用に必要なすべての機能を提供しています。楽天シンフォニーは日本に本社を置き、米国、シンガポール、インド、欧州、中近東アフリカ地域にも現地拠点を置いています。楽天シンフォニーの提供サービスについては、以下のウェブサイトをご覧ください。https://symphony.rakuten.com (英語のみ)

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