楽天モバイルを支えるパイオニア紹介: Sharad Sriwastawaさんにインタビュー

今回は楽天モバイルのネットワーク本部の部長であるSharad Sriwastawaさんを紹介します。
Sharadさんは、楽天モバイルで世界初となるエンドツーエンドの完全仮想化クラウドネイティブのモバイルネットワーク(注1)を立ち上げたチームの一員です。

日本に来る前はどんな仕事を?

私はインドのデリーで生まれ育ちました。エンジニアリングを学び、1995年から仕事をはじめ、通信業界歴は24年以上になります。
キャリアをスタートしたのはインドですが、この24年間、15カ国以上で働き、主に最先端技術や、ゼロからのネットワーク構築に携わってきました。

通信業界に進もうと思った理由は?

90年代初めに電気通信の勉強を始めました。当時は通信・ネットワーク業界の大きな転換期でした。以来、私はこの業界の発展に心血を注いできました。

他にどの地域・国で働いたことがありますか?

アジア、中東、オーストラリア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカです。最も長いのはアメリカで、4年間働きました。

2001年には、アジアで事業を拡大していたオーストラリアの通信会社Telstraのコンサルティング部門に入社し、さまざまな事業会社向けに無線周波数(RF)の計画に関するコンサルティングを提供しました。その後タイ、シンガポール、そして最終的にインドに戻りました。

楽天モバイルに入社するまでの経緯を教えてください。

12年前から楽天モバイルのCTOであるTareq Aminさんとさまざまなプロジェクトに取り組んできました。2018年、彼は世界初のクラウドネイティブモバイルネットワーク(注1)の構築に取り掛かり、開始から1カ月もしないうちに、このエキサイティングなプロジェクトに参加しないかと誘われたのです。私は躊躇することなく家族全員と日本に引っ越して来て、今こうしてここにいるわけです。
これまで仕事でさまざまな経営陣の元で働いてきましたが、今回は今までとまったく異なります。どこかの国に行ってどんな仕事をするにも、必ず家族と共に行きます。家族全員が一緒に生活し、さまざまなチャレンジを楽しむようにしています。

楽天モバイルでの経験を過去の仕事と比較してどう感じていますか?

楽天モバイルでの最初の9カ月間は、プランニング、アーキテクチャの最終決定、テストケース、ベンダーオンボーディング(ベンダー研修)に全力を投じました。

しかし、今注力しているのはデプロイメント(展開)です。楽天CEOの三木谷さんを含め、グループ全体で取り組んでいます。様々な事業のメンバーと週に一度ミーティングを開いています。この大規模なデプロイメントには全CxO(各部門の責任者)が協力してくれています。例えば「楽天トラベル」、「楽天エクスプレス」、「楽天ロジスティクス」と緊密に連携しており、ビジョンの実現に向けて全部門が力を尽くしています。

今までの仕事で様々な企業のCEOと働いてきましたが、今回はかなり異なります。三木谷社長自身が毎日、通信エリア、安定性、品質といったネットワークのあらゆる面に相当な時間をかけて携わっているのです。

楽天モバイルでのこれまでの実績を教えてください。

たくさんあります。初めて(vRANでの)データコールを実行し、世界中の通信業界にvRAN技術を実証したときのことを鮮明に覚えています。報道でも大きく取り上げられました。掲載された最初の写真は、私と三木谷社長、Tareqさんが本社である楽天クリムゾンハウスのそばの川沿いを歩きながら、完全に仮想化したモバイルネットワークのテストを歩きながら行ったときの写真でした。こうして、いかに通信業界における画期的なマイルストーンを達成し、不可能を可能にしたかを思い返すと、今でも鳥肌が立ちます。

あなたのチームの最大の強みを教えてください。

私の部門は世界中のベンダーを含め27カ国以上の人たちで構成されており、豊富な多様性と経験をもつチームです。

あなたのチームの特色は何ですか?

顧客の満足を最重視していることです。どんなモバイルネットワークであれ、最前線にいるのはRAN(無線アクセス)とRF(無線周波数)チームです。デバイスであれ通信サービスエリアであれ、どんな問題もまずRANチームに届けられます。もし何かの理由でネットワークが利用できない場合、まず行うのはRANチームへ伝えることです。難しい仕事ではありますが、エコシステム全体を構築し、組織の他部門を動かしながら目的を達成していくことになります。
今のところ、私のチームは納期をすべて守り、日々何かを達成しています。毎日何らかの新しいことが起こっています。個人的には、24年間で私が取り組んできたプロジェクトのうち、これが最もやりがいがあるものかもしれません。

もっとも難しいと感じるのはどの部分ですか?

スケジュールですね。楽天モバイルはスピードがすべてです。2018年12月からの進捗スピードは驚くほどです。100%仮想化したネットワークを構築しただけでなく、わずか1年間で全国約3,000の基地局を立ち上げることも可能だと証明しました。統合しこれほどまで通信エリアを広げるのは簡単なことはではありません。他の事業者からはクレイジーだと思われているでしょうね。

それこそが「楽天エコシステム」の力です。

私たちがこれを達成できるのは「楽天エコシステム」のおかげです。セールスチーム、eコマースチームなど、誰もがそれぞれの役割を果たしています。提携先のホテルの協力で基地局を設置し、さらに楽天グループの社員にもスマートフォンを渡すことで、追加のコストなく通信サービスエリアのデータを収集してもらっています。

これも「楽天エコシステム」の力です。もしこれを楽天モバイル単独で行わなければならなかったら、これほど短期間で実現するのは非常に難しいでしょう。

楽天モバイルで活躍するのはどんな人たちですか?

新たなチャレンジに適応できる人。チャレンジ好きな人は大歓迎です!そうでない人にとっては辛いかもしれません。

楽天は大きなグループ企業ですが、すべての事業、すべての部門がスタートアップのように機能しています。例えば、仕事上の承認を得るのに何日もかかりません。即断即決です。楽天モバイルには三木谷社長自身が深く関与していますので、私のチームのエンジニアは問題があれば彼に直接伝えることができます。他の携帯キャリア事業会社では、こんな風にCEOと相談するのは難しいかもしれません。しかし楽天モバイルでは、このようなスピード感にも慣れていく必要があります。

最後に一言お願いします。

次世代の新たなテクノロジーについて学びたい人にとって、楽天モバイルは絶好の場です。今、楽天モバイルは世界中の人たちに注目されています。

去年は誰もがこのテクノロジーは実現しないと言っていました。他の業界大手は皆、できないだろうと言っていたのです。それが今では3,000拠点の基地局も稼働しています。

私は20年以上通信業界にいますが、楽天モバイルで働いていると、もはや通信業界にいる感じがしません。楽天モバイルは本質的にIT企業なのです。

(注1)大規模商用モバイルネットワークとして(2019年10月1日時点)/ステラアソシエ調べ

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