【技術解説】自己学習するネットワークとは?オートノマス・ネットワークについて楽天モバイルのデータサイエンティストに聞きました(前編)

この【技術解説】シリーズは、楽天モバイルのネットワークに導入しているテクノロジーや今後注力していく分野について解説する連載記事です。

今回は、前回に引き続き、「オートノマス・ネットワーク」(自律的なネットワーク)について解説します。楽天モバイルで無線アクセスネットワークのデータサイエンスに携わっているPetrit Nahi(ペトリット・ナヒ)さんに学習するネットワークについてお話を伺いました。この記事は前編・後編で掲載します。

 

楽天モバイル データサイエンス統括 ペトリット・ナヒさん

楽天モバイル データサイエンス統括 ペトリット・ナヒさん

 

現在のモバイルネットワークが抱える課題

今から30年以上前にモバイルネットワークがはじめて実用化されてから、そのインフラの管理には何百、何千という人数のエンジニアが常時監視する必要があるとされてきました。それぞれのエンジニアが特定のパラメータ(注1)を監視し、必要に応じて介入します。しかし、デメリットとして、管理コストがかさみ、かつエラーが起きやすいという点があります。なぜなら、人による判断や作業には間違いが発生してしまうからです。

現在、第5世代移動通信システム(5G)ネットワークが登場しています。この新しいネットワークの展開にあたり、今までの管理方法を変える必要が出てきています。多用途かつ多面的な要素を特徴に持つ5Gネットワークは、より多くの機器や機械がネットワークに接続されていくことになります。その瞬間瞬間で起きるすべての事象に対応していくには、どれだけ大人数で構成されたエンジニアチームをもってしても、ほぼ不可能となります。今後、5Gの商用ネットワークでは、数十億という取引や接続を日常的に生み出すことになります。全体像の把握なしに、ネットワークの一部に良かれと思って変更をすることが、ネットワーク上の別のどこかで意図せぬ結果をもたらす恐れがあります。

5Gネットワークは、非常に動的なネットワークとして、例えばネットワークスライシング(注2)のように、さまざまな品質要求に対応するサービスを提供する機能をサポートするよう設計されています。これは、従来のネットワーク管理方法が、もはや現実的でなく、管理方法には、自動化と自律化が必須となることを意味しています。

(注1)ソフトウェアやシステムの動作に影響を与える変数や設定数値のこと
(注2)ネットワークを用途に応じて仮想的に分割すること。

 

自動化がもたらす新たな時代

コンピューティングにより、クラウドネイティブなプラットフォーム上で、規模を拡張することが容易になっています。このおかげで、アプリケーションや、システムは、稼働中のモバイルネットワークが生成・集積する大量のデータを処理することが可能です。これらのデータセットの分析は、ネットワークを構成する要素のパフォーマンス管理にとどまらず、顧客体験に関する明確なインサイト、つまりエンドユーザーから見たネットワークの通信速度や反応速度を把握することもできるでしょう。さまざまなソースからのデータを組み合わせ、AI(人工知能)を適用して新たに開発されるアプリケーションやシステムにより、ネットワークで発生している事象の全体像が(エンドユーザーが認識しているような形で)把握でき、従来、エンジニア側からは見えづらかった新たなインサイトをもたらすようになります。

このようなシステムは、経済活動全般でも活用されています。工場、もっといえばサプライチェーン全体が、リアルタイムのデータを利用してさらなる自動化と効率化を目指しています。AIの進歩は、これら自動化システムの高度化に一役買っています。ソフトウェアが現実世界にあるデータのパターンを認識し、学習するマシンラーニング(機械学習)は、スピーチの正確な書き起こし、写真の被写体識別から自動運転まで、多くの分野で応用されています。

後編に続きます)

 

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