楽天モバイルのNB-IoTの通信技術トライアル:成功事例から紐解く、IoT活用のヒント
楽天モバイルでは、様々な企業や消費者向けの新たなサービス提供に向けて、NB-IoT対応機器と楽天モバイルのネットワークとの相互接続性試験に取り組んでいます。今回は、NB-IoTの技術的な特長や、楽天モバイルの強み、接続試験の成功事例についてご紹介します。このたび、相互接続試験を実施し、楽天モバイルのIoT認証を取得された製品のご担当者様コメントも交え、IoT活用に関する今後の可能性についてもお伝えします。
■NB-IoTとは?
NB-IoT(Narrow Band-Internet of Things)とは、狭帯域・低消費電力を特徴とするIoT機器向けの通信規格です。非常に狭い周波数帯域を使用することで、少量のデータを低頻度で送信することが可能になります。これにより、スマートメーターや各種センサーなど、バッテリー駆動時間が重要なIoTサービスへの応用が期待されています。
■ NB-IoTの特長
近年、IoTの活用が拡大する中で、信頼性の高い通信基盤が求められています。楽天モバイルなどのような移動体通信事業者によって提供されるNB-IoTには、以下のような特長があります。
- 低消費電力: 優れた省電力設計により長期間にわたるバッテリー寿命を実現し、頻繁な充電や電池交換の必要性を解消します。
- 広範囲: 全国に設置済みの携帯電話基地局を利用でき、従来の携帯電話回線よりも低い周波数帯域を使用するため、波が遠くまで届きやすく、 IoTゲートウェイなどの中継機器がなくても広範囲なエリアをカバーするIoTシステムを構築できます。
- 安全性: 3GPP※で培われたセキュアなモバイルキャリアネットワークにより、安全なデータ通信を実現します。
※3GPP(3rd Generation Partnership Project):第3世代移動体通信の標準仕様策定を目的として設立された国際プロジェクト
- 高品質: IoTデバイス専用の通信規格のため、多数のデバイス接続に対応し、安定したキャリアネットワークを提供します。
楽天が着目するNB-IoT の強み「ガードバンドの活用」
通常のモバイル通信においては、既存のLTE周波数帯域の間に、ガードバンドと呼ばれる保護帯域を設けて空白を作ることで、隣り合う周波数との混線を避けています。
楽天モバイルは、NB-IoTのサービス提供にあたり、このガードバンド活用の可能性に着目し、検証を実施しました。NB-IoTで使用する周波数帯域は非常に狭いので、既存のモバイル通信で利用する周波数帯に干渉することなく、周波数資源の有効活用が期待できます。これにより、例えば工場内の設備監視や物流における貨物追跡といった危険検知などの用途、スマートシティや広大な農地のような数多くのデバイスを広範囲に設置する場合においても、安定した通信の確保が期待でき、安心してソリューションを導入することが可能になります。
■NB-IoTの通信技術トライアルの実施
「A Smart」は、ASIOT社が展開する様々な種類のアナログメーターをアタッチメント(後付け)方式でIoT化することができるエッジAI型の自動検針サービスです。水道、電気、ガス、針式アナログなど、様々な既存メーターに数分で簡単に取り付けることができ、電源やネットワークの工事は不要です。エッジAI技術により、デバイス側で取得データを処理し、クラウドに送信するため、通信量を低減し、消費電力を削減できます。
アシオット株式会社「A Smart」:https://asmart.ai/landing-b?gclid
接続試験内容:
今回の接続試験では、マンションのメーターボックス(鉄製ドア、一部ガラス窓)にスマートメーターを設置し、64Bの数値データと2KB以下の画像データを1時間に1回送信。RFテスト※による通信評価を行いました。
※RFテスト:無線通信や放送、レーダーなど、電磁波を用いたシステムで用いられる無線周波数の信号を測定・分析するテスト
結果:
一カ月以上にわたる検証の結果、楽天モバイルのNB-IoTに接続したスマートメーターから、継続的に水道利用量が計測できました。また、信号強度をあらわすRSRPは、試験を実施した3カ所のうち2カ所において、他社NB-IoT利用時と比較しても高い値が記録されました。これにより、数値データ・画像データともに安定した通信が確認できました。
■ASIOT社ご担当者様のコメント
今回、楽天モバイルのIoT認証を取得したことで、A SmartのIoTエコシステムはさらに進化しました。NB-IoTの活用により、山間部や地下などでも安定したデータ取得が可能となり、地方自治体のインフラ監視やビルメンテナンス、製造業での自動化にも活用が広がると期待しています。今後も現場のDX化と豊かな社会の実現に貢献してまいります。
楽天モバイルは、今回の接続試験の成功を機に、様々な業界や用途に対応したNB-IoTソリューションの開発を進め、IoT分野での技術革新とサービス向上に取り組んでまいります。また今後は、NB-IoTおよびLTEネットワーク、衛星通信などを活用することで、従来は通信圏外だった山岳地帯や離島、海洋などの環境下でも、より低コストで高品質なIoTサービスの提供を目指します。
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