自動運転レベル4の社会実装へ。佐賀市で行う「通信×モビリティ」の挑戦
楽天モバイルは、総務省 令和7年度「地域社会DX推進パッケージ事業(自動運転レベル4検証タイプ)」に採択され、実証団体の産学官7者(楽天モバイル、佐賀市交通局、建設技術研究所、沖電気工業、先進モビリティ、東海理化、佐賀市、東京科学大学)とともに、佐賀市において自動運転バスのレベル4導入(注1)に向けた実証を行いました。本事業では、地域における新たなモビリティサービスの実現を目指しています。自動運転専用の通信回線を用意するのではなく、普段利用している携帯電話の通信を活用した自動運転技術の社会実装に向けた検証を進めています。
実証実験の様子は、動画でもご覧いただけます。
検証では、以下の3点に取り組みました。
1.車載センサーで検知が難しい歩行者や車を路側センサーで検知する右折支援
佐賀駅バスセンターへの進入口には、右折専用レーンを含め3車線の信号のない大きな交差点があります。高架下のため見通しが悪く、自動運転バスの車載カメラでは、歩行者や対向車が死角に入ってしまうことが、安全確保の観点で課題となっています。そこで、バスセンター付近の道路に路側センサーを2カ所設置。自動運転バスと路側センサーの情報をリアルタイムで連携させて、バスが安全に右折できるか検証しました。

2.通信混雑時の遠隔監視継続の安定化
2025年10月30日(木)から11月3日(月)の期間、佐賀市では「2025佐賀インターナショナルバルーンフェスタ」が開催され、5日間で累計83万人以上が来場しました。期間中は大勢の人々が集まるため、モバイル通信が混雑している環境で、自動運転バスの遠隔監視を検証しました。具体的には、バス内外の監視カメラ映像を遠隔監視システムへ送信し、通信環境に応じてデータサイズなどを最適化することで、映像を安定して送信できるかや、映像の画質を落とした状態でも、バス内外の状況を正確に認識できるかについて検証しました。

3.山間地のトンネル内電波環境整備
自動運転バスの運行には、車内外のデータをリアルタイムで監視するための途切れない通信環境が不可欠です。しかし、山間部のトンネルなどの一部は、携帯電話の電波が届きにくく、自動運転バス導入の大きな障壁となっています。そこで今回は、佐賀市内のトンネルに基地局よりも低コストで導入可能なレピーターという中継局を設置しました。基地局の電波を中継・増幅するこの装置を活用し、自動運転バスがトンネル走行中も安定して映像を伝送できるか、モバイル通信環境を検証しました。

本事業に参画した背景や成果について、佐賀市および楽天モバイルの担当者にお話を伺いました。
お話を伺った皆さん
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友田 ひとみさん
佐賀市
政策推進部 企画政策課
副課長 兼 係長 -

宮澤 拓也さん
楽天モバイル株式会社
先端技術開発統括部
イノベーションプログラム開発事業部 -

佐藤 瞳さん
楽天モバイル株式会社
先端技術開発統括部
イノベーションプログラム開発事業部
佐賀市が自動運転の検証に取り組む理由・導入における課題

友田さん
日本全国でバスの運転士不足が問題とされている中、佐賀市では、その課題を解決するために自動運転バスの社会実装に向けた取り組みを進めております。近い将来、自動運転が実装された時に備えて、佐賀市民の交通を守る対応をしていくことが重要と考えております。
自動運転バスの運行には、車両の安全性確保、法的義務の遵守、円滑な運行管理(遠隔監視)の観点から、安定した通信環境が不可欠です。車外(他車両や道路に設置したセンサー)からの情報を活用することで、より高度な安全走行が可能となり、サービスの質を向上させる基盤となります。
また、既存のモバイルネットワークを利用することで、自動運転専用の通信環境を構築する場合に比べコストを大幅に抑制できます。これは、自動運転サービスの社会実装におけるハードルを下げる重要な要素となります。
本事業における検証結果

宮澤さん
今回は、自動運転バスの社会実装に関する、モバイル通信における課題について、佐賀市および実証団体に参画いただいた皆様と検証を実施しました。具体的には、信号機のない交差点での右折や、電波が届きづらいトンネルにおける通信可能エリアの拡大、大規模イベントといったモバイル通信の混雑が起きやすい状況において自動運転の検証を行いました。
大規模イベントでの検証では、モバイル通信の混雑状況に応じて伝送する映像の画質を調整するなどして、通信が混雑する状況でも自動運転バスの遠隔監視を継続することができました。
また、トンネルでの検証では、レピーターを設置し、携帯電話の基地局からの電波をトンネル内部に向けて届けることで、電波の届きづらかったトンネル区間に、安定した通信環境を確保することができました。

佐藤さん
佐賀市内の信号がない交差点において、車両に搭載したセンサーと道路に設置した路側センサーの情報を連携させた車両制御の検証を実施しました。複数センサーの情報を組み合わせて周囲を正確に把握することで、車や人通りの多い駅前のバスセンター近くにある無信号の交差点を、安全に走行通過できることが確認できました。
今後への期待と楽天モバイルが果たす役割

佐藤さん
楽天モバイルは「携帯市場の民主化」を掲げております。モバイル通信を利用した自動運転バスの運行は、導入コストを抑えることにつながるため、人手不足などに悩みを抱える多くの地域に新たな選択肢を提供できるのではと考えています。

宮澤さん
昨今日本では、高齢ドライバーによる交通事故の増加や、運転免許の自主返納後に生じる移動手段不足が社会課題となっています。自動運転はとても便利なツールになると思います。一方、通信環境が不安定な状態では、自動運転サービスは提供が難しくなるので、モバイル通信事業者として、安定した通信環境の提供により地域社会に役立っていきたいと思います。
(注1)自動運転レベル4: 特定の環境下で運転者が介入することなく、システムがすべての運転操作を行う自動運転レベルのこと。
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