企業が取り組む研究に特化したカンファレンス「CCSE2021」発表レポート

楽天モバイルは2021年12月、企業が取り組む研究に特化したカンファレンス「CCSE2021 conference, on computer science for enterprise」(以下、CCSE)(注1)において、現在進めている研究開発プロジェクトやパートナー様との共創プロジェクトについて発表しました。

「CCSE」は所属企業の枠を超え、企業が行った研究を学会のように発表・議論する場として、株式会社サイバーエージェント主催のもと、毎年開催されています。研究者にとっては、自社の研究を他社や学生と議論することでさらなる研究活動の発展を期待できます。一方で聴講者にとっては共同研究や自分のキャリアについて考えることができる貴重な場となっています。

2021年には約10社の企業の研究者が参加、楽天モバイルからは品質保証プラットフォーム本部の中里 仁がBeyond 5Gの実現に向けた研究開発について発表、ビジネスソリューション企画部 R&DグループマネージャーのKelvin Chengが5GとVPS技術を活用した実証実験について発表しました。また、ビジネスソリューション企画部 部長の益子 宗がパネラーとして研究開発のアウトプットに関するセッションに参加しました。

 

「Beyond 5G実現に向けたエッジクラウドに関する研究開発」

発表者:中里 仁

品質保証プラットフォーム本部
QAマルチアクセス部
研究開発課

楽天モバイルでは、2021年3月から「Beyond 5G研究開発促進事業」新規委託研究の一環として東京工業大学と次世代エッジクラウドコンピューティング基盤の研究開発を開始しています(注2)。
今回は東京工業大学の大岡山キャンパスで実施している実証実験の事例や今後の展望を発表しました。

本研究では、東京工業大学構内にエッジコンピューティングに展開可能な環境を準備し、仮想化基盤を構築、機能に応じてサーバー処理を分散配置することで、シームレスな体験を提供する実験を行っています。現在は、大学構内におけるARナビゲーションのアプリケーション開発を検討中です。
今後は自動運転やスマートショッピング、スマートナビゲーションといったアプリケーションを実装し、エンドツーエンドでの超低遅延を実現することにより、ユーザー体感品質の高いアプリケーションレベルでの実証実験を目指していくといった展望を紹介しました。

聴講者からは今後のBeyond 5Gにおけるエッジコンピューティングに期待するコメントをいただくなど、注目度の高さがうかがえました。

発表の様子(Beyond 5G 実現に向けたエッジクラウドに関する研究開発)

発表の様子(Beyond 5G 実現に向けたエッジクラウドに関する研究開発)

 

「Enhancing the Stadium Spectator Experience」

発表者:Kelvin Cheng

5Gビジネス本部
ビジネスソリューション企画部
R&Dグループ
グループマネージャー

この回では、2021年11月に「楽天モバイルパートナープログラム」のロケーションパートナーであるヴィッセル神戸の拠点地であるノエビアスタジアム神戸にて実施した、5GとVPS技術を活用した実証実験(注3)の成果を発表しました。

今回の実験では「選手情報、試合情報のAR表示」、「AR広告の表示およびインターネットショッピングとの連携」の実施に成功しました。
ARを活用した実証実験は前年2020年11月にも実施していますが、今回は「マーカーレス」でARを表示する位置を特定できる「VPS技術」を活用することで、さまざまな座席からユーザーがスマートフォンをかざすだけでARコンテンツを楽しめる体験を提供しています。
この「VPS技術」は、「楽天モバイルパートナープログラム」の技術パートナーであるImmersal社に協力いただき、実現しています。
またコンテンツでは、選手情報、試合情報のAR表示やスタジアムの形状に合わせたAR広告の表示のほか、「楽天市場」と連携したショッピング機能を実装し、より直感的に楽しめる新しい購買体験の提供に向けた検証を行いました。

発表後、聴講者からは多くの質問が寄せられ、プロジェクトを進行するうえで苦労した点についての質問も挙がるなど、大変興味を持っていただけました。
発表の様子(Enhancing the Stadium Spectator Experience)

発表の様子(Enhancing the Stadium Spectator Experience)

本実証実験の動画

Kelvinはそのほか、日本で活躍する外国籍研究者によるパネルトークにも登壇し、異国の地である日本での研究者としてのキャリア構築に関して意見を交わしました。

外国籍研究者によるパネルトークの様子

外国籍研究者によるパネルトークの様子

 

「研究のアウトプットとアウトカム 研究は誰に届ける」

パネラー:益子 宗

5Gビジネス本部
ビジネスソリューション企画部
部長

このセッションでは、研究フェーズだけでなくビジネス化に向けたアプローチについて議論を交わしました。益子は楽天技術研究所にも籍を置きながら、楽天モバイルで5Gを活用した事業企画を行う、研究者と事業側の両方の立場からの意見を述べました。
「研究のアウトプットをどのようにサービス側に届けるか?」といった議題では、「事業側にソースコードに加え、コンセプトとなる動画やプロトタイプなどを見える形で伝えたうえで議論を行う方がサービス化のイメージがしやすい」というアウトプットを提示する際に注力していることを説明しました。

パネラーの皆様からはそれぞれの企業の事業形態・研究テーマが異なることもあり、研究のアウトプットは論文や特許、中間生産物といったさまざまな回答がありましたが、継続的に経営側、事業側と議論することでニーズに合った技術やサービスを生み出していくということについては、各社共通の見解でした。
セッションの様子

セッションの様子

楽天モバイルでは、今後も5Gを活用した新しいユーザー体験やBeyond 5Gの実現に向けた研究開発成果の創出、サービス化を目指して、多くの研究活動や実証実験を進めてまいります。また、今回のようなカンファレンスや学会で研究成果を発表し、楽天モバイルのプレゼンスも高めながら、アウトプットとなる技術の向上を図ってまいります。

 
楽天モバイルでは、新たな挑戦・革新的な
サービス創造の実現を目指し、
パートナーと共にプロジェクトを進めています。

共創のお知らせ一覧に戻る