完全仮想化クラウドネイティブ
モバイルネットワーク

楽天モバイルは「完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワーク」を実現しています。世界初(注)となる全く新しいネットワークアーキテクチャをネットワーク全体に採用することで、柔軟かつセキュアなモバイルネットワーク基盤を構築し、設備投資・運用コストを従来ネットワーク対比で大幅に削減することにも成功しています。

完全仮想化の特長

従来のモバイルネットワークでは、専用ハードウェアとそれに一体化したソフトウェアを導入して基盤を構築することが一般的でした。一方、楽天モバイルのネットワークでは、ハードウェアの機能をソフトウェアに置き換える仮想化技術をネットワーク全体に導入しています。

これにより、ハードウェアとソフトウェアを分離させ、クラウドサーバーなどで使用されている汎用ハードウェアを用いて構築した仮想化プラットフォームの上で、モバイルネットワーク機能を共通化させたソフトウェアとして稼働させることを可能にしています。

従来の垂直統合型テレコムネットワーク。(例)ソフト3G、専用ハード、ソフト4G、専用ハード、ソフト5G、専用ハード、ハードとソフトが一体化、インターネット。専用ハードウェアに依存(ベンダーの固定化)。次世代方式への移行に時間がかかる。設備投資/運用コストが膨大。完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワーク。ソフト4G、ソフト5G、ソフトNext、仮想化プラットフォーム(クラウド化ソフトウェア)、汎用ハード、ハードとソフトを分離、インターネット。汎用ハードウェアが利用可能(マルチベンダー)。次世代方式への移行がスピーディー。設備投資/運用コストを大幅に削減。

仮想化プラットフォーム上で稼働する4Gと5Gのソフトウェアを同一のハードウェア上に共存させることも可能となっています。また、従来のモバイルネットワーク基盤で課題とされていた新機能の実装(例えば3Gから4G、4Gから5Gへの移行)に際しても、ハードウェアを更新せず、ソフトウェアの追加・更新のみで速やかに対応することも可能です。

ソフトウェア、OSS/BSS、End to End Orchestration、4G用、vCU、SGW、PGW、HSS、SMSC、OCS、DRA、vDU、MME、PCRF、CSCF、TAS、SBC、CG NAT、5G用のソフトウェアを追加、5G用、5G CU、5G DU、SMF、UPF、AMF、PCF、UDM、Telco Cloud Virtualization Software(NFVI/VIM)。4G無線ユニット、5G(NR)無線ユニット。ハードウェア、COTS(汎用ハードウェア)。

楽天モバイルは、クラウド基盤を前提にしたモバイルネットワークを世界で初めて(注)構築し 、お客様へサービスを提供しています。

設備投資・運用コストの削減

従来のモバイルネットワーク基盤では、専用ハードウェアを調達する必要があるうえ、ソフトウェア更新や部品交換においても膨大な設備投資が必要となります。また、各ネットワーク機器のインターフェース仕様に差分があることが多く、各ネットワーク機器は、個別開発や管理・運用が必要となるため、エンジニアの作業が増え、運用コストもかさみます。

仮想化技術の導入により、汎用ハードウェアが利用可能になったほか、ソフトウェア更新やハードウェア部品交換が容易になり、設備投資・運用コストを大幅に削減可能となっています。

仮想化プラットフォーム上で稼働するソフトウェアは共通のインターフェース(API等)を用いて運用しています。数千、数万にも及ぶネットワーク機能を共通インターフェースを介して運用できるため、自動化を導入することで運用コストを従来よりも大幅に削減可能です。

また、自動化はネットワークの信頼性向上にも寄与します。その例としてあげられるのが、ネットワークの自動復旧機能です。複数のシステムを用意すること(冗長構成)により、一部のハードウェアが停止した場合でも、自動的に代替機に切り替わり、サービスを継続することができます。

基地局の簡素化

仮想化技術によって基地局設備を可能な限りソフトウェアに置き換え、基地局自体を簡素化しています。従来ネットワークでは基地局に設置されている無線信号を処理する機能を、エッジクラウド上に移行することで、基地局での手作業による工程を減らすなど、基地局開設のスピードも加速させることが可能となっています。

従来の基地局、BBU(ベースバンドユニット)、キャビネット、アンテナ、無線機、整流器&バッテリー、複雑な基地局構成。楽天モバイル、vRAN、vCU、vDU、エッジクラウド、無線機一体型アンテナ、整流器&バッテリー、シンプルな基地局構成。

仮想マシンからコンテナへ

楽天モバイルでは5Gネットワーク基盤に「コンテナ」技術を導入しています。コンテナ技術とは、OS(Operating System)上に他のプロセスからは隔離されたアプリケーション実行環境を構築する技術です。コンテナ技術により、仮想的な動作環境をより少ないコンピュータリソースで実現できます。

仮想化ネットワークでは、アプリケーションの実行環境である各仮想化マシンにおいてOSを動かす必要があるため、仮想化マシンごとにプロセッサーやメモリーを消費し、ストレージも必要となります。

一方、コンテナでは一つの共通するOS上でアプリケーションを実行することができるため、プロセッサーやメモリーの消費は少なく、ストレージの使用もわずかです。仮想化マシンに比べて起動時間が短く、同じ性能のハードウェアであれば、仮想化マシンより多くのコンテナを同時に動かすことができます。

仮想化ネットワーク、仮想化マシンA、App、OS、仮想化マシンB、App、OS、仮想化プラットフォーム、OS、ハードウェア。コンテナ化ネットワーク、コンテナA、App、コンテナB、App、コンテナC、App、仮想化プラットフォーム、OS、ハードウェア。

コンテナ化により、同じソフトウェアを異なる仮想化プラットフォーム上に展開することもでき、従来ネットワークでは一般的な、複数の専用サーバーに同一のソフトウェアをインストールする工程とそれにかかる時間や人員などを省くことができます。

コンテナ化したネットワーク機能はContainerized Network Function(CNF)と呼ばれ、機能拡張や復旧作業の自動化など、ネットワーク基盤の高度化につながります。

楽天モバイルでは、ネットワーク機能の開発アプローチにおいて「マイクロサービス」を導入し、小さな独立した複数のサービスでソフトウェアを構成・開発しています。細かく分割したCNFをマイクロサービスで機能ごとに開発することによって、開発効率を上げるとともに開発にかかる時間を短縮することが期待されています。また、障害発生時においても通信への影響を最小化することが可能となり、ネットワークの信頼性を向上させています。

(注)大規模商用ネットワークとして(2019年10月1日時点)/ ステラアソシエ調べ

【解説動画】楽天モバイルの完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワーク

楽天モバイルのネットワーク技術

完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワーク